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05/05/2026

ニュースレター  No.261
2026年5月1日

ここ数日は日差しがまぶしいほどの春の陽気です。桜の木は青々とした葉を広げ、木蓮は桃色のつぼみを上へ上へと広げています。

重力に逆らうかのように空に向かってさやが伸びる空豆。桜が咲いてから2か月後の間が、その土地の空豆の旬と言われており、シアトルでは5月中旬から下旬あたりに収穫できるようになります。四国では四月豆、静岡では五月豆という名前がついています。九州では唐豆とも呼ばれ、今から千三百年前に中国からやってきたときの呼び名がそのまま残っています。元のお国の中国では、さなぎになる前のお蚕の形に似ているというので「蚕豆」。原産地は中央アジアから地中海にかけてで、紀元前五千年の新石器時代から食べられてきたという歴史の長い作物です。

炒った空豆、はじけ豆は明治時代の学生に人気のおやつで、ちょっと気取って「金平糖」などと呼ばれたそう。

白木綿の兵古帯に、小倉袴を穿いた学生の買物は、大抵極まっている。所謂「羊羹」と「金米糖」とである。羊羹と云うのは焼芋、金米糖と云うのははじけ豆であったと云うことも、文明史上の参考に書き残して置く価値があるかも知れない。

(「雁」 森鷗外)

日に日に春めくこの季節を楽しまれますよう。

12/02/2025

ニュースレター No.256
2025年12月1日

感謝祭が過ぎると急に冷え込む夜が多くなってきました。ワシントン州も内陸のほうでは雪が降り積もったとか。冬の到来、あったかい鍋や汁物に欠かせないのが、ネギ。

古く中国から日本へ渡ってきたネギは、奈良時代の「日本書紀」に「秋葱(あきぎ)」という名で出てきます。古名は「き」という一文字で、白い部分が食用であったことから「根」をつけて「ネギ」と呼ばれるようになったと考えられています。浅葱(あさぎ)色というと薄いネギの色から由来する、緑がかった鮮やかな青です。

もともと東日本では白い部分が多い長ネギ、西日本では葉っぱの部分が多い青ネギが栽培されていました。アメリカには意外と遅く19世紀あたりに登場し、玉ねぎの若い芽である細っこいscallionまたはgreen onionが日本の青ネギに近く、サラダやディップに使われます。長ネギはなかなかお目にかからないのですが、食感で言えばleekという平べったいネギが白い部分が多く、甘みがあります。

芥川龍之介の短編「葱」には、デート中にもかかわらずネギを買ってしまうお嬢さんが出てきます。話のモデルは宇野千代さんだそう。

あらゆる物価が暴騰した今日、一束四銭と云う葱は滅多にない。この至廉(しれん)な札を眺めると共に、今まで恋愛と芸術とに酔っていた、お君さんの幸福な心の中には、そこに潜んでいた実生活が、突如としてその惰眠から覚めた。
.. 「あれを二束下さいな。」

(「葱」芥川龍之介)



今年一年、世界のあちこちでさまざまな出来事がありました。メンバーの皆さん、そしてボランティア先などで出会った方々との大切なつながりのおかげで、ボイスライブラリーは活動を続けてこられました。本当にありがとうございます。来年もこのつながりを大切にしながら、共に歩んでいければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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